木を伐るという行為は、終わりではなく始まりかもしれません。
青森ヒバを育む森の中で、「使いきる」という知恵と美意識が、今も静かに息づいています。
「建材に使えるのは、木のごく一部。
でも、本当に価値あるのは、その“残り”かもしれない。」
そんな視点から始まった、ヒバの再利用ストーリーをご紹介します。
1|建材に使われなかった“ヒバの残り”とは?
ヒバは、家の土台や柱として重用される一方で、
- 枝葉
- 樹皮
- おが屑
などの“建材にならなかった部分”が大量に発生します。
これらはかつて、燃やされたり、埋め立てられたりして処分されるのが一般的でした。
しかし実は、これらの部分にこそ、精油や有効成分が豊富に含まれているのです。
2|端材を“香りの資源”へと転換
檜葉三百の精油づくりは、まさにこの端材から始まりました。
- 製材所に積まれたヒバの枝や樹皮
- おが屑やチップとして捨てられる木くず
これらを集め、水蒸気蒸留で精油や芳香蒸留水を抽出しています。

建材にはならなくても、香りの成分「ヒノキチオール」や抗菌成分は枝葉や樹皮にこそ多く含まれている。
本来なら“いちばん香る部分”を、私たちは見逃していたのかもしれません。
3|おが屑を入浴剤に。循環の最終形
たとえば、ヒバのおが屑を詰めた入浴剤。

袋ごと湯船に浮かべると、森の香りがふわっと広がり、まるで檜風呂に入っているような感覚に。
さらに、使用後の袋は乾かして消臭剤に。
砕いて土に混ぜれば、天然の肥料としても活躍します。
捨てるものを、整えるものへ。
ヒバの循環型プロダクトは、まさに「最後まで自然と生きる」選択です。
4|ヒバの樹皮も、空間を清めるツールに
ヒバの“皮”もまた、注目すべき素材です。
檜葉三百では、樹皮をスモーク加工し、芳香チップやお香の原料にも応用しています。
- アロマのように香りを楽しむ
- 精神を落ち着ける
- 場を整える儀式や演出に使う
単なる見た目や用途だけでなく、文化や精神性をも受け継ぐ素材として、ヒバの可能性が広がっています。
5|未来へつなぐ「もったいない」精神
こうした取り組みの根底にあるのは、日本人が長年育んできた「もったいない」という感覚です。
- 一滴の精油のために100kgの木を使うのではなく、廃材から100mlの精油を抽出する
それは、効率ではなく、共に生きるための選択。
檜葉三百では、プロダクトを通じてその哲学を届けていきます。
まとめ|“ヒバの余白”に、価値がある
木は、ただ伐って使うだけのものではありません。
捨てられていたその枝も、皮も、香りも──
すべてが再び、人の暮らしに“整い”をもたらす資源になる。
ヒバという木は、最後まで寄り添い、使い切られる。
それは、自然とのつながりを忘れない私たちの生き方を、静かに支えてくれているのです。
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