ヒバ精油に含まれる4つの主要成分とその効果とは?

香りだけじゃない、青森ヒバの底力

森林の中にいるような、清々しい香り。
それが、青森ヒバから採れる天然精油の魅力です。

けれど、この香りの奥には、私たちの暮らしに役立つ成分たちが秘められていることをご存じでしょうか?
この記事では、ヒバ精油に含まれる「4つの主要成分」とその具体的な作用を、やさしく解説します。


そもそも「精油(エッセンシャルオイル)」とは?

精油とは、植物の葉や枝、花や樹皮などから抽出された、天然の芳香成分のエッセンス
香りを楽しむだけでなく、肌や空間のケア、心身のバランスを整える目的でも広く使われています。

青森ヒバの精油は、製材時に出る端材やおが屑・樹皮などを活用して水蒸気蒸留で丁寧に抽出されます。
この過程で凝縮されるのが、今回ご紹介する4つの成分です。


1|ヒノキチオール|抗菌・抗カビの中核成分

  • 働き:強力な抗菌・抗カビ・防虫作用
  • 特徴:肺炎球菌や黄色ブドウ球菌などへの殺菌作用が確認されている¹
  • ポイント:日本の「ヒノキ」には含まれず、青森ヒバに豊富

ヒノキチオールは、前回の記事でも取り上げたヒバの代表的な成分。
神社仏閣の建材や、昔ながらの防虫箪笥にヒバが選ばれてきた理由は、この成分の存在にあります。


2|β-ドラブリン(β-Dolabrin)|空気を浄化する力

  • 働き:空間の除菌・消臭、爽やかさを演出
  • 特徴:香りに“清涼感”を与える天然成分
  • ポイント:家庭用芳香・抗菌スプレーに活用されることも

β-ドラブリンは、空間の「こもった空気感」を変える作用に優れた成分。
青森ヒバの香りが、ふわっと空間を“整える”感覚を与えてくれるのは、この成分のおかげでもあります。


3|ツヨプセン(Thujopsene)|虫を寄せつけない天然成分

  • 働き:防虫・忌避効果(ダニ・ゴキブリ・蚊など)
  • 特徴:香りとしてはウッディで温かみのある成分
  • ポイント:天然の虫よけ剤としても研究されている²

人には心地よく、虫には嫌われる。
ヒバ精油を含んだバスアイテムや空間スプレーが赤ちゃんやペットにも安心して使えるのは、この成分の「天然バリア力」によるものです。


4|セドロール(Cedrol)|心を落ち着かせる“鎮静の香り”

  • 働き:リラックス・自律神経の安定
  • 特徴:セダーウッド系に多く含まれる甘くウッディな香り
  • ポイント:アロマ業界では「癒し成分」として知られる

お風呂に1〜2滴垂らしたとき、
「ああ…癒される」と感じるあの感覚。
それはセドロールの働きによるものかもしれません。
夜の時間や深呼吸したいときにぴったりの成分です。


ヒバ精油は、自然がつくった“多機能アロマ”

このように、ヒバ精油は香りだけでなく、

  • 抗菌・抗カビ
  • 防虫・消臭
  • リラックス
    といった多面的な効果を持つ「自然の機能性オイル」として活用されています。

合成香料や化学成分では真似できない、
“森のちから”を一滴に凝縮した存在とも言えるでしょう。


檜葉三百のヒバ精油は、再資源化から生まれた

私たちは、ヒバの精油を単なる“アロマ”としてではなく、
建材になれなかった枝や樹皮、おが屑を再活用する循環の象徴として捉えています。

100kgの素材から採れるのは、わずか100mlの精油。
その一滴に込められた時間と森の知恵を、
どうぞ毎日の暮らしの中で感じてみてください。


参考文献

  1. 新潟大学大学院 医歯学総合研究科(2022年)
    「ヒノキチオールが肺炎球菌の増殖を阻害することを発見」
    https://www.niigata-u.ac.jp/news/2022/84988/
  2. 日本木材学会誌「ヒバ精油の化学成分と昆虫忌避効果に関する研究」
    https://japan-wood.org/
  3. 小林製薬中央研究所「天然精油成分の抗菌・防虫作用に関するレビュー」
    (Journal of Cosmetic Science, Vol.67, No.2)

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